■チャップリンを語るvol.3

現在活躍している映画監督・俳優たちが、いかにチャップリンに影響を受けてきたか。チャップリン、そしてその映画の魅力について、彼ら自身によることばを紹介します。

■エミール・クストリッツァ監督
1954年生まれ。旧ユーゴスラビアのサラエボ(現ボスニア・ヘルツェゴビナ領)出身。長編映画デビュー作「パパは、出張中!」(1985)と「アンダーグラウンド」(1995)でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを、ジョニー・デップ主演「アリゾナ・ドリーム」(1992)でベルリン国際映画祭銀熊賞を、「黒猫・白猫」(1998)でヴェネチア国際映画祭監督賞を受賞。世界三大映画祭ですべて監督賞を受賞している。

「チャップリンの映画が特に面白いのは、映画への取り組み方が他の監督とは違うからです。彼の場合、ときに1〜2年をかけて、小説を書くように映画を作っていく。これほど人を魅了し惹きつける理由のひとつには、構造がしっかりしていることがあります。言ってみればチャップリンは、映画の“建築家”です。」
「映画で大切なのは、空間です。観客が知る必要のない、こまごましたことの積み重ねから生み出されるものですが、チャップリンはそのことをよくわかっていました。人物がその空間にどう入ってくるかを、パターン化してみせたのです。これは革新的なことでした。」
「わたしはかつて、映画のもっともよい構造はサーカスからきている、と教わりました。サーカスの舞台は基本的に円形で、そこに様々な要素が含まれています。映画づくりもそうですが、まずは観客の視点を考えなければなりません。」 「チャップリンは真に知性的です。彼は自分の感情や人生観を、可能な限り映画に表わそうと努力していたのです。」    「サーカスで見るジャグリングのように、信じ難いものを人に信じさせ、観念的な自分の世界に観客を引き込もうとする。それが監督の仕事です。いくらうまくやっても未知の要素は残る。しかし「サーカス」を見ると分かるのです。説明せず、ただ観客を奇跡に引き込めばいいのだ、と。」

「サーカスのドキュメンタリー」より



  << 前へ チャップリン特集トップへ 次へ >>