■チャップリンを語るvol.7

現在活躍している映画監督・俳優たちが、いかにチャップリンに影響を受けてきたか。チャップリン、そしてその映画の魅力について、彼ら自身によることばを紹介します。

■アッバス・キアロスタミ監督
1940年、テヘラン生まれ。1970年に「パンと裏通り」で映画監督の道に入り、代表作は「友だちのうちはどこ?」(1987)、「そして人生はつづく」(1992)、「オリーブの林をぬけて」(1994)の三部作、1995年「白い風船」の脚本など。「桜桃の味」(1997)でカンヌ国際映画祭パルムドールを、「風が吹くまま」(1999)でヴェネチア映画祭審査員賞などを受賞。

「イランの社会では、親戚や近所の人など父親以外の男性と子どもの交流が多く、その絆は強いものです。子どもと養父であるチャーリーの絆を描いた「キッド」をあらためて見てみると、私の映画が似ているのに気がつきました。無意識のうちに影響を受けていたようです。昔はただの観客として見ましたが、今は見方も違います。映画監督としての私に強く訴えかけてくるんです。」
「一番驚いたのはメッセージではなく、その並はずれた監督のスタイルです。ストーリーを語る手法が印象的で、無声映画にもかかわらず正確に話が伝わってくる。最近はその重要性が忘れられていますね。」 「私もそうするのですが、シーン全体が一定の水平位置で撮られ、カメラとの距離感も保たれています。これは観客の目線で見せたいからなんです。私が最初に映画を撮ったとき、それでベテランの編集者やカメラマンと揉めました。カメラを動かす勇気がないのだ、とか、カット編集がないラクな方法を選びたいのだろう、などと陰で言われました。」 
「人物が登場するとき、遠くから近づいてくるのをワンカットで待つことには、意味があるんです。そして私の哲学です。」
「チャップリンの映画と同じ手法を使っていても、それが彼の影響とは限りません。似ているのは共に、映画の哲学ではなく、人生の哲学を求めているところです。」

「キッドのドキュメンタリー」より



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